教室博日記 No.1927

 2021/03/17(水)

 キクガシラコウモリ

 君津の山中にて。廃道となった林道を、倒木を越えながら進むと穴を見つけた(写真1)。何のためかは解らないが、人が造った穴であることは間違いない。中はすぐに行き止まりとなっていた(写真2)。

人が造った穴
  • 写真1
人が造った穴
  • 写真2

 穴の壁にコウモリが一匹ぶら下がって眠っていた(写真3)。翼をマントのように使って体全体を包み込んでいるので、これはキクガシラコウモリだ(頭胴長は7センチほど)。近縁のコキクガシラコウモリは翼で体全体を包み込まないので、眠っている姿でどちらか区別ができる。

穴の中で越冬中のキクガシラコウモリ
  • 写真3

 ちょうど目の前の高さにぶら下がっていたので、壁のわずかな出っ張りに後ろ足の爪を引っかけている様子がよく観察できた。何枚か写真を撮らせてもらったが、目覚めることは無かった。

 今は使われずに忘れ去られた穴が、無駄にならずにコウモリのねぐらとして役に立っていて良かったと思った。

  • キクガシラコウモリ Rhinolophus ferrumequinum(キクガシラコウモリ科)
  • コキクガシラコウモリ Rhinolophus cornutus(キクガシラコウモリ科)

(斉藤明子)