教室博日記 No.1955

 2021/04/27(火)

 フジハムシ

 清澄山系にて。渓谷沿いの木にフジのつるがからみ、藤色の花を咲かせていた(写真1)。例年より花の盛りが早い。

  • 写真1 フジの花

 フジの葉に小さな甲虫がとまっていた(写真2)。その名もフジハムシ。体長は6ミリほどで、頭と胸が黒く、後翅は赤い。成虫も幼虫もフジの葉を食べる。

  • 写真2 フジハムシの成虫

 別の葉には幼虫の集団がいた(写真3)。まるまると太ったイモムシ形で、頭と前胸が黒く、残りは白地に黒い点々がある。大きいものは体長8ミリほどで、成虫より大きい。さかんにフジの葉を食べ、糞を出していた。

  • 写真3 フジハムシの幼虫

 さらに別の葉の裏にはフジハムシの卵がみつかった(写真4)。卵は赤味の強いアメ色でジェリービーンズのような形。写真には20個程度の卵塊が2つ写っている。それぞれ1頭のメスが産んだものと思われる。手前にある卵塊は少し色が薄いので、奥の卵塊よりも早く産み付けられ、発生が進んでいると考えられる。この日、この渓谷ではフジハムシのすべての世代を見ることができた。

  • 写真4 フジハムシの卵
  • フジ Wisteria floribunda(マメ科)
  • フジハムシ Gonioctena rubripennis(ハムシ科)

(尾崎煙雄)