教室博日記 No.1958

 2021/05/04(火)

 ツノキノコバエの幼虫

 木更津市にて。放棄水田沿いの沢に架かった倒木の裏に謎の生きものを見つけた(写真1、2)。

  • 写真1 沢の倒木
  • 写真2 謎の生きもの

 倒木の裏に生えた白い菌類の上に、粘液で作られたと思われる薄い膜が広範囲に貼られ、その下に数匹居るのを確認した(写真3)。長さは2センチほどもあり、細長く透き通ったような体をしていた(写真4)。

  • 写真3 菌類にいたツノキノコバエの幼虫
  • 写真4 体は細長く透き通っている

 現地では、ハエ目の幼虫だろうと思ったがそれ以上は全く判らなかった。帰ってから調べてみると、どうやらツノキノコバエ科の幼虫のようだ。

 オーストラリアとニュージーランドでは、幼虫が発光するキノコバエの一種は「グローワーム」と呼ばれ、発光が見られる洞窟が観光名所になっている。日本では2種の発光性のキノコバエが知られており、ニッポンヒラタキノコバエの幼虫は八丈島では比較的簡単に見ることが出来るそうだ。また、神奈川県でもチリメンタケについていたツノキノコバエ属の一種が見つかっており、発光も確認されている(高橋、2018)。

 この日見つけた幼虫も発光しているのだろうか。確認してみたいが、夜、ここを訪れるのはかなり恐ろしい。

  • ツノキノコバエ科の一種 Keroplatidae sp.(ツノキノコバエ科)
  • ニッポンヒラタキノコバエ Keroplatus nipponicus(ツノキノコバエ科)
  • 【参考文献】
  • 高橋孝洋(2018) 神奈川県で確認した発光性ツノキノコバエ属の一種.月刊むし(563):46-48.

(斉藤明子)

  • 【追記(2022年6月14日)】
  •  ここでツノキノコバエ科の一種の幼虫として報告した種は、ナミキノコバエ科のツマグロオオキノコバエの幼虫らしいことが判明しましたので種名を下記に訂正します。
  • ツマグロオオキノコバエ Leptomorphus panorpiformis(ナミキノコバエ科)