教室博日記 No.1969

 2021/06/06(日)

 田んぼマイスター2021 田植えとさなぶり

 朝から小雨がぱらつく中、君津市市宿で行われている「田んぼマイスター」の田植えが予定通り行われた(写真1)。今年は春が早く訪れたのにもかかわらず、いつもより1週間遅れての種まきだったため、暑さにやられて苗の出来がいつもより悪くなってしまった。そこでふつうだと、苗を数本束にして植えるのだが、一部は1本植えにするという。

  • 写真1 子ども達が作った看板、この後ろの田んぼに苗を植える

 苗を植える位置の目安になる田面への線引き作業は、今年も木曽野さん親子がやってくださった(写真2)。この線の交わったところに、「愛国」「関取」そしてもち米の「まんげつもち」を植えていく。それぞれの品種を植える場所を間違えないこと、苗を押し込むようにしないで、やさしく植えることなど説明を聞いた後(写真3)、みんな裸足になり腰をかがめて1本1本植えていった(写真4、5)。

  • 写真2 縦横に線引きされた田んぼ 苗の束が置いてある
  • 写真3 木曽野さんの説明を聞く
  • 写真4 田植えの始まり
  • 写真5 苗の1本植え

 マスクをつけたままの田植えはちょっと違和感があるが(後世の人が見たら何と思うだろう)、1本植えは間隔を大きくとっている(縦横45センチ)ため、1時間足らずで終了した(写真6、7)。田植えの間は雨もやんでいてくれた。

  • 写真6 45×45センチ間隔の1本植えが終了
  • 写真7 田植え終了とともに雨が降り出す

 田植えは予定より早く終了したが、その後はお楽しみの「さなぶり(早苗饗)」である。さなぶりとは、「早苗振る舞い」のことで、田植えの後に開かれる宴(慰労会のような)であるが、民俗学的には「さ」は「田の神」を意味しており、田植えが無事終わって田の神を再び天に送り、豊作を祈る行事であったようだ。

 慰労されるほど働いていないと思いつつ、木曽野家の皆さんや幹事の方々が準備してくださった料理を堪能した(写真8~11)。子ども達は虫取りをしたり、薪で沸かす露天風呂に入ったり、幼児から中学生までが一緒になって楽しんでいた。今年の夏はどんな夏になるのか、初めて挑戦した1本植えは、今までの稲の生長と違いが出るのか、楽しみである。

  • 写真8 子ども達の大好物(大人も) 焼きフランクフルト
  • 写真9 甘くて美味しい「ちゃのこ」
  • 写真10 素朴な味わいの「蒟蒻煮付け」と「真竹の筍煮付け」
  • 写真11 最後はやはりカレーライス

 なお今年の田んぼマイスターは、個人競技として「バケツ田んぼグランプリ」が実施される。バケツの中に1本の苗を植え、稲がどのように生育していくのか観察し、稲作りの収穫量(何本分げつ〔株別れ〕したか、実った籾の数など)を競うというものである。正直な子ども達に、「博物館の人って案外ダメなのね」と言われないよう、ひっそりとバケツ田んぼ作りにいそしんでいる(写真12)。

  • 写真12 博物館の片隅の「バケツ田んぼ」、少ししたらどれか1本にする

 写真3~5、8~10は中央博市民研究員の佐藤恭子氏撮影

(八木令子)