教室博日記 No.2010

 2021/08/18(水)

 夏休みの宿題-バケツ田んぼ

 君津市市宿(写真1)の田んぼで行われている昔ながらのお米つくり体験「田んぼマイスター2021」。今年も夏休み恒例の『案山子つくり』が行われるはずであったが(写真2~3)、新型コロナの感染拡大が止まらず、残念ながら今回は中止になってしまった。元気な子供たちもがっかりしていることだろう。

  • 写真1 君津市市宿の砂取り場と黄色くなってきた稲(2020年8月撮影)
  • 写真2 昨年の案山子つくりのようす(2020年8月撮影)
  • 写真3 昨年の案山子たち(2020年8月撮影)

 9月の稲刈りまでには状況が好転していることを願いながら、今年は市宿の田んぼの土を使った「バケツ田んぼ」作りを博物館で続けている。

 6月初旬に苗を植えて、10日後くらいから分げつ(枝分かれ)が始まったが(写真4)、急激に成長する様子はなく、どちらかというとひ弱そうな感じだった。できれば自然に育てたいと思ったが、ここはやはり肥料が必要かと思い、博物館の同僚から化成肥料を分けてもらって少し入れた。

  • 写真4 分げつが始まったころの稲 ひ弱そう

 7月に入ると、見るたびに虫が葉や茎をかじっている(写真5~7)。昆虫の専門家に見てもらうと、イナゴ類の幼虫だと言う。田んぼが広がっているならわかるが、広い博物館の敷地で、たった一本の苗から育てているバケツ田んぼの稲をよく見つけて寄ってくるものだと感心するが、見るたびに追い払っていたら、その後はあまり見なくなった。

  • 写真5 イナゴの幼虫?
  • 写真6 かじられた茎
  • 写真7 成虫になったイナゴ?

 7月下旬、そろそろ中干の時期かと思うが、そのタイミングがなかなか決められないでいた。8月に入ってバケツの水を落とし、2日ほどそのままにしていると、土が乾き、バケツと土の間に少し隙間ができた(写真8)。さらに1日おいて、もうそろそろいいかと茎や葉を触ってみると、以前よりしっかりしてきたようだ。心なしか緑色も濃くなった気がする。これが中干の効果かと(そんなに早く効果は出ない?)納得して、再び水を入れた(写真9)。

  • 写真8 中干し 土とバケツの間に隙間
  • 写真9 中干し後、水を入れる 稲がしっかりしてきた?

 その後1週間ほど博物館を不在にした(水の管理はお願いしていた)。戻って様子を見ると、いきなり穂が出ていて(写真10)、しかもかなり伸びている。急に成長が早くなった気がする。穂のところには小さな花がついている(写真11)。小さすぎて、花が開いた状態というのがどのようなものなのかよくわからない。毎日見るたびに穂が成長しているが、ここからがまた重要な時期なのだろう。どうなっていくか、楽しみである。

 なお、中干まではバケツを外に置いていたが、台風が来るというのでガラス温室の中に入れた後、そのままになっている。風通しもよく、日もよく当たるが、過保護のような気がして、外に出そうかどうか迷っている。久しぶりの夏休みの宿題のようだ。

  • 写真10 穂が出て急成長
  • 写真11 穂の先に地味な花がついている

(八木令子)