教室博日記 No.2018

 2021/09/10(金)

 キバナコスモス

 木更津市内にて。道端にキバナコスモスの花が咲いていた(写真1)。中南米原産の植物で園芸植物として導入されているが、野生化しているものを道端などでよく見かける。

  • 写真1

 キバナコスモスの花には目立つ「花びら」がある(写真2)。この写真の花には8枚の「花びら」があるが、植物学的にはこれは「花弁」ではなく、「舌状花(ぜつじょうか)」と呼ばれる「花」である。つまりキバナコスモスの「花」は植物学的には「頭状花序(とうじょうかじょ)」と呼ばれる「花の集まり」であり、この花序には8個の舌状花がある。舌状花の雌しべや雄しべは退化していて種子をつくる機能はないが、昆虫を呼び寄せる広告塔であると同時に、花を訪れた昆虫の足場ともなっている。

  • 写真2

 では種子を作る花はどこにあるのかといえば、花序の中心部に丸く固まっている(写真3)。この塊は「筒状花(とうじょうか)」と呼ばれる小さな花が30個ほど集まったもので、それぞれの筒状花に雌しべと雄しべがある。

  • 写真3

 この花にはハキリバチの一種が訪れていた(写真4)。体長1センチほどの黒くて毛深いハチだ。ハチの顔はキバナコスモスの花粉で黄色くなっている。

  • 写真4
  • キバナコスモス Cosmos sulphureus(キク科)
  • ハキリバチの一種 Megachilidae sp.(ハキリバチ科)

(尾崎煙雄)