教室博日記 No.2050

 2021/12/10(金)

 教室博物館 この日の生きもの

 教室博物館のある旧三島小の校内で生きものを探した。12月にもかかわらず予想以上にいろいろな生きものに出会うことができた。さすが三島小だ。

 朽木の樹皮下に甲虫の幼虫が居た(写真1)。何だろうと思い帰ってから調べるとルリゴミムシダマシの幼虫のようだ。一見カミキリムシの幼虫に似ているが、立派な脚がある(写真2)。

ルリゴミムシダマシの幼虫
  • 写真1 ルリゴミムシダマシ(幼虫)
  • 写真2 ルリゴミムシダマシ(幼虫腹面)
ルリゴミムシダマシの成虫
  • 写真3 ルリゴミムシダマシ(成虫)(2019/06/19 東大千葉演習林にて撮影 )

 斜面の土を削ると越冬中のヒガシニホントカゲが出てきた(写真4、5)。寝ているところを露わにしてしまい申し訳なかった。

  • 写真4 越冬中のヒガシニホントカゲ
翅は透明で体はフワフワの蠟物質に覆われている
  • 写真5 ヒガシニホントカゲが越冬していた崖

 校舎の壁には毛虫がいた(写真6)。ゴマフリドクガというガの幼虫のようだ。体に長い毒毛を持っており、触らなくてよかった。

  • 写真6 ゴマフリドクガ(幼虫)
  • 写真7 ゴマフリドクガ(成虫)(2017/07/07 三島小にて撮影)

 校舎の裏ではヒメツチハンミョウの雌がなぜかコケの中に頭を突っ込んでいた(写真8)。この種の幼虫はハナバチ類の巣に寄生して育つ。孵化した幼虫は植物をよじ登り、花に飛んできたハナバチにうまくしがみつきハナバチの巣にたどり着いて初めて、生き延びることができるのだそうだ。こんな奇跡のようなことを待たねばならないから、ヒメツチハンミョウは数千個という昆虫の中では非常に多くの卵を産むことが知られている。この雌の膨らんだ腹部には多数の卵が入っているはずだ。成虫で冬を越し、春に産卵する。

  • 写真8 ヒメツチハンミョウ

 放置されたプランターに積もった枯葉の中にはニホンアマガエルが居た。周りの色と同様のまだら模様をしていた(写真9)。まだ冬眠に入っていないようで、驚いてはねて逃げていった。

  • 写真9 ニホンアマガエル

 ノイバラにからんだミツバアケビに幼虫を見つけた。この目玉模様と独特の静止姿勢はアケビコノハの幼虫だ(写真10)。体にある二つの目玉模様で外敵を驚かすらしい。アケビコノハはヤガ科の一種で、成虫の前翅は枯葉にそっくりだ(教室博日記No.0895)。この虫は成虫、幼虫時代、どちらも形は違えど、体の色や模様で身を守るという同じ生き残り戦略をとっている。

  • 写真10 アケビコノハの幼虫
  • ルリゴミムシダマシ Derosphaerus subviolaceus(ゴミムシダマシ科)
  • ヒガシニホントカゲ Plestiodon finitimus(トカゲ科)
  • ゴマフリドクガ Somena pulverea(ドクガ科)
  • ヒメツチハンミョウ Meloe coarctatus(ツチハンミョウ科)
  • ニホンアマガエル Dryophytes japonicus(アマガエル科)
  • アケビコノハ Eudocima tyrannus(ヤガ科)

(斉藤明子)