教室博日記 No.2067

 2022/02/09(水)

 ヒノキ

 清和県民の森の尾根道にて。切り立った崖に生えたヒノキを見つけた(写真1)。

  • 写真1

 ヒノキはスギとならんで日本の主要な造林樹種であり、各地に植林されている(写真2)。一方で、天然のヒノキはどこにでも生えているものではない。ヒノキは日本固有の針葉樹であり、その自然分布は福島県以南の本州、四国、九州のおもに太平洋側の山地とされ、南限は屋久島である。千葉県内に天然のヒノキが存在するかどうかについては諸説あり断定することは難しい。

  • 写真2

 この日見つけたヒノキは垂直で土壌がほとんどない岩壁に根を張り、その幹は根元からほぼ直角に曲がって立ち上がっている(写真3)。以前、屋久杉の巨木が林立する屋久島の山中で見た巨岩の側面に生えた天然のヒノキの姿を彷彿とさせる。

  • 写真3

 このヒノキは周囲に植林されたヒノキから落ちた種子がたまたま岩壁に定着して育ったものだと考えられるが、ヒノキという樹種が本来持っている強さを垣間見せている。

  • ヒノキ Chamaecyparis obtusa(ヒノキ科)
  • スギ Cryptomeria japonica(ヒノキ科)

(尾崎煙雄)