教室博日記 No.2075

 2022/02/16(水)

 アダチアカサシガメ

 君津市の山中にて。土中で越冬していたアダチアカサシガメを見つけた。土中で成虫越冬する昆虫はオサムシやゴミムシ類だけではなく、カメムシ目のサシガメ類も土中から見つかるが、この日は幸運にもアダチアカサシガメを掘り出した(写真1)。

土の中で越冬していたアダチアカサシガメ
  • 写真1

 アダチアカサシガメは、清澄山産の標本に基づき1968年に記載されたサシガメ科のカメムシ。記載された後、千葉県では全く見つからず、ついには「絶滅生物」とされていたが、2012年に58年ぶりに発見(尾崎・斉藤,2013)されて以降、なぜか県内各地で見つかるようになった。

 本種はヤスデを餌としており、過去の日記にもヤスデに口を突きさして体液を吸っている様子が紹介されている(教室博日記No.1705)。なぜこの種が最近になって増えたのか、謎である。

  • アダチアカサシガメ Haematoloecha adachii(サシガメ科)
  • 【参考文献】
  •  尾崎煙雄・斉藤明子(2013) 千葉県清澄山で58年ぶりにアダチアカサシガメを採集.月刊むし(506):44.

(斉藤明子)