フィールドノート No.2119

 2022/05/27(金)

 崖をよじ登るヤマカガシとオオヘビガイの化石

 館山市内にて。ヘビが崖をよじ登っていた(写真1)。近付こうとすると、勢いよく茂みに入り、姿を消してしまった。この崖は数千年前の内湾でたまった泥からできていて、偶然にもオオヘビガイという巻貝の化石が写り込んでいた(黄色三角)。

  • 写真1 崖をよじ登るヤマカガシと地層中に埋まっているオオヘビガイの化石(黄色三角)

 この巻貝はヘビのようにくねくねしていて、この仲間の中では比較的サイズも大きいため、オオヘビガイ(大蛇貝)という名前も納得だ。巻き方は様々で、とぐろを巻くこともあれば(写真2)、複数個体が集合して絡まったヘビのようになることもある(写真3、4)。

  • 写真2 とぐろを巻くオオヘビガイの化石(館山市内の他の場所で撮影)
  • 写真3 複数個体が集合するオオヘビガイの化石(館山市内の他の場所で撮影)
  • 写真4 複数個体が集合するオオヘビガイの化石(写真3の標本を別な角度から撮影)

 ヘビに詳しい同僚に写真を見てもらったところ、ヤマカガシという毒ヘビらしい。体色は地域によって異なり、千葉に生息する個体は赤と黒の斑紋があるという。千葉のヤマカガシは他地域と比較してサイズが大きいため、オオヘビガイとの相性はバッチリとのことだった。

  • ヤマカガシ Rhabdophis tigrinus(ナミヘビ科)
  • オオヘビガイ Serpulorbis imbricatus(ムカデガイ科)

(千葉友樹)