フィールドノート No.2129

 2022/06/08(水)

 ツマキホソハマキモドキ

 房総丘陵にて。かつて水田だったと思われる湿地の一角に丈の高い草の群落があった(写真1)。この草はショウブだ。葉の様子はアヤメの仲間のハナショウブともよく似ているため混同されがちだが、ショウブはまったく別の植物で、ハナショウブのように目立つ花は咲かない。端午の節句の風習の一つである菖蒲湯に用いるのはハナショウブではなくこちらのショウブの方。

  • 写真1

 この時期にショウブの葉にはとても美しいガがいるという話を読んだことがあったので、探索してみた。さっそく葉の上にとまったそれらしき影をみつけた(写真2)。

  • 写真2

 そっと近寄ってみると期待通りに美しいガの姿があった(写真3)。翅を閉じてとまった見かけの体長は8ミリほど。ツマキホソハマキモドキである。閉じた状態で見た翅の前半はにぶい金属光沢を帯び、角度によっては青緑色に輝く。翅の後半は黄色の地に銀色の斑紋がある。見たかった実物を初めて見ることができ、満足であった。

  • 写真3
  • ショウブ Acorus calamus(ショウブ科)
  • ハナショウブ Iris ensata var. ensata(アヤメ科)
  • ツマキホソハマキモドキ Lepidotarphius perornatellus(ホソハマキモドキガ科)

(尾崎煙雄)