フィールドノート No.2137

 2022/06/30(木)

 ナガヒラタムシ

 鋸南町にて。葉上にナガヒラタムシが静止していた(写真1)。体長は12ミリほど。

葉上のナガヒラタムシ
  • 写真1

 真っ黒な平たい体、太く長い触角をピンと前に向け、脚は体の下にたたみ、胸の横に前脚の一部だけが見える。頭部と前胸の造形、大きな目、鞘翅(前翅)の点刻列と隆起した条、どこを見ても美しい姿の甲虫だ。

 ナガヒラタムシは全国に分布し、千葉県内でも広く記録がある。しかし、探して見つけることは難しく、たまたま止まっているか灯りに飛んで来たものが見つかるくらいだ。幼虫は腐朽の進んだ木材を食べる。

 ナガヒラタムシ科は日本には4種、千葉県には1種のみが生息する小さな科である。甲虫類のうちで起源が最も古く2億年前に遡るとされており、それが理由で、図鑑ではたいてい甲虫類の一番最初に掲載されている。

 大陸では化石種が多く見つかっていて、体の作りは現生の種と大きく変わらないという。ナガヒラタムシは甲虫の中でも原始的、などと言われることもあるが、2億年もの間、体の作りを大きく変えずに暮らしているということは、この虫のスタイルが優れているからではないだろうか。

  • ナガヒラタムシ Tenomerga mucida(ナガヒラタムシ科)

(斉藤明子)