フィールドノート No.2143

 2022/07/14(木)

 アカコブコブゾウムシ

 内浦山にて。ここはアカガシの多い森だった。ちょうど目の高さに下枝が見えるアカガシがあって、枝にゾウムシを見つけた(写真1)。

アカガシの枝にしがみつくアカコブコブゾウムシ
  • 写真1

 これはアカコブコブゾウムシという体長1センチほどのゾウムシだ。アカガシの葉の付け根にしがみついていたこのゾウムシをじっくり見ていると、どんぐりになり始めたばかりの小さなアカガシの実に長い吻を突っ込んで囓っていた(写真2、3)。

アカガシの実を囓るアカコブコブゾウムシ
  • 写真2
アカガシの実を囓るアカコブコブゾウムシ
  • 写真3

 近くの実はほとんど穴が空いていた(写真4)。このゾウムシの仕業に違いない。アカガシにとっては迷惑なことだが、見える限りではこの一匹しか見つからなかったので、それほど脅威ではなさそうだ。

アカコブコブゾウムシに囓られたアカガシの実
  • 写真4

 アカコブコブゾウムシ、なかなか愉快な和名だが、さらに学名(属名)までKobuzoなのだ。1933年にこの種を基にKobuzoという属を創設したのは、河野広道博士という日本人の昆虫学者である(Kôno, 1933)。この種はたしかに鞘翅(前翅)の後方にコブがあるが、名前ほどコブコブではないように思う。

  • アカコブコブゾウムシ Kobuzo rectirostris(ゾウムシ科)
  • 【参考文献】
  • Kôno, H.(1933)Die Hylobiinen aus Formosa(Col. Curc.). Insecta matsumurana 7(4):182-189.

(斉藤明子)