フィールドノート No.2149

 2022/07/20(水)

 刺さったら痛そう、エイの尾棘の化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった砂層が観察できる。貝化石が含まれる砂層中に、光沢のある尖った物体が飛び出していた(写真1)。

  • 写真1 地層から飛び出す光沢のある尖った物体(黄色三角)

 ひょっとしたら、サメの歯の化石かもしれない。やさしくつまんで引っ張ってみよう。すると、予想よりも細長い物体が取れた(写真2)。

  • 写真2 想像よりも細長かった

 予想よりも短い物体が取れることはよくある。その場合はサメの歯の欠片か貝殻片のことが多いが、今回のように予想よりも長いことは珍しい。しかも、サメの歯にしてはずいぶん細長い。

 水洗いすると、エイの尾棘(びきょく)の化石だった(写真3)。

  • 写真3 エイの尾棘の化石

 エイと言えば、水族館でよく見る座布団みたいな魚だが、実は尾に棘を持っている。海岸でうっかりエイを踏ん付けてしまうと、尾棘で刺されて、大怪我を負うことがある。尾棘の化石をよく見ると、先端が尖っていて、刺さったら痛そうだ(写真4)。しかも、縁には「カエシ」がたくさん並んでいるので、一度刺さると抜けにくく、抜くときも痛そうだ。エイの尾棘には気を付けたいが、よくできた構造に感心してしまう。

  • 写真4 エイの尾棘の先端部分(写真3を拡大したところ)

(千葉友樹)