フィールドノート No.2170

 2022/09/08(木)

 チャバネムクゲテントウダマシ

 元清澄山系にて。太い倒木の下側が白いキノコで覆われていた(写真1)。

白いキノコに覆われた倒木
  • 写真1

 このようなキノコには食菌性の甲虫が集まるので、必ずじっくり見ることにしている。なんと、ここには驚くほど多数のチャバネムクゲテントウダマシが集まっていた(写真2)。白い部分全体に写真2のような密度で見られたので、数十匹は居ただろう。

倒木のキノコに集まったチャバネムクゲテントウダマシ
  • 写真2

 チャバネムクゲテントウダマシは体長4ミリほどのテントウムシダマシ科の甲虫。千葉県ではまだ房総丘陵の2カ所でしか見つかっていなかった。そんな珍しい種類がこれほどたくさん見られるとは感激だ。

 テントウムシダマシ科はキノコ類や枯れ木などに生息する。一見テントウムシに似るが、より触角が長く、触角の先端が太くなる。チャバネムクゲテントウダマシはその名のとおり、翅が茶色くて毛が密生したテントウムシダマシだ(写真3)。

チャバネムクゲテントウダマシ
  • 写真3 左肩の白っぽいものはダニ

 この日、このような白いキノコの生えた倒木や立枯れ木を丹念に見ながら歩いたが、この虫が付いていたのはこの木だけだ。何が気に入ってここに集まっているのか、さっぱり判らなかった。

 ところで、昆虫の和名には、ダマシ、モドキ、ニセなどがよく使われている。甲虫の科名だけでもテントウムシダマシ科以外に、ゴミムシダマシ科、カミキリモドキ科、ニセクビボソムシ科などいくつもある。たぶん、昆虫の多様性を表現するには言葉が足りないのだろう。

  • チャバネムクゲテントウダマシ Stenotarsus chrysomelinus(テントウムシダマシ科)

(斉藤明子)