フィールドノート No.2432

 2026/3/7(土)

 大型前方後円墳の発見

 2月27日に国土地理院が千葉県君津地区の数値標高モデル1mメッシュDEMを公開したので、3月5日にこのデータを利用して微地形表現図を作成した。君津地区にはフィールド・ミュージアムの拠点もあり、この地域の古墳時代遺跡にはかねてより関心があったので、作成した図により古墳の分布状況を確認していた。そうすると、これまで存在が確認されていなかった場所に大型の前方後円墳のような地形を見つけ、現地を確認しようとその地形がある袖ケ浦市を訪れた。図上では、全長約93m、墳丘の高さは高いところで約10mほどだ。後円部南西側の墳丘端に鳥居があり、そこから階段を上ると後円部の広い墳頂平坦面に至る。そこからはくびれ部を経て、前方部を見通すことができる。前方部の端には近世の石碑が乗る富士塚が築かれており、地域では「浅間様」として祀られ大切に管理されている。そのため、墳頂平坦面は下草が刈られよく管理されており、見通しが効く。後円部と前方部の高低差はほとんど無いため、もしかしたら後円部の墳頂は富士塚を築く際に削られているかもしれない。それ以外は後世の改変をほとんど受けておらず、極めて良好な保存状態である。注意深く地面を観察しながら歩いたが、埴輪や土器を採集することができなかった。そのため時期を判断するのが難しいが、墳丘の形態から古墳時代中期後半から後期の古墳と推定できる。既存の遺跡地図や各種文献にも掲載されておらず、県内の専門家、地域の方々に尋ねても存在が知られていないため、新発見の前方後円墳と考えて良さそうだ。袖ケ浦市内では最大規模で、東京湾東岸地域の古墳の変遷を考える上でも極めて重要な古墳であることは疑いないであろう。今後は関係機関と連携して、この古墳の解明に助力できればと考えている。なお、今回は地域にお住いの方々のご迷惑になる可能性があるので、詳細な場所の公表は差し控える。また、ここは別の時代の埋蔵文化財包蔵地として登録されており、無許可で掘削するのは違法行為となることを申し添える。

    写真1 後円部から前方部を眺める。高低差がほとんどない。奥に富士塚がある。
    写真2 西側のくびれ部が明瞭に観察できる。
    写真3 発見した前方後円墳の微地形表現図。国土地理院数値標高モデル1mメッシュDEMを加工して作成。

(黒田篤史)