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水郷の原風景
水郷-この言葉は実に叙情的で、ときとして感傷的な響きさえ私たちにつたえてくるものがあります。これは、景観的な意味合いで、水辺に開かれた集落を指すというだけでなく、そこで繰り広げられた暮らしぶりをも含めた表現として、使われることが少なくないからでしょう。今回は、その水郷と呼ばれる地域の、かつての風景を物語る写真資料を主にまとめてみました。内容的には当地(千葉県佐原市新島地区周辺)の生活から環境にいたるまで多岐にわたっていますが、その多くは、抜本的な転換をはかった土地改良事業をはじめ、全国的な時流ともなった高度経済成長期など、急進的に押し寄せた“近代化”という高波にのみ込まれる以前のものが中心となっています。そして、ここではそうした景色の数々を、“原風景”と謳うことで位置づけをはかりました。もちろん、それは単なる懐古主義にとどまるものではありません。いわば、長らく生きてきた人々の心の拠りどころ、ものの考え方の原点・背景の表象ともなっているといえます。そして、それらを読み込んでゆくことは、先人たちに対するより具体性のある理解にとどまらず、昨今よく取りざたされる世代間の空洞化への穴埋めといったことにも結びついてくるはずです。ともあれ、こうしたことを念頭におかれ、メッセージを些少でもお汲み取りいただければ幸いです。
なお、本ホームページは、千葉県立大利根博物館発行の『写真集 水郷の原風景』をもとに再構成して作成したものです。