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写真21 水屋 昭和62年(1987) 撮影場所:千葉県佐原市磯山
洪水に備え、人々はさまざまな工夫をこらした。これは水屋といって蔵を兼ねた避難小屋ともいうべき建物で、普段は米などの食料や衣料、貴重品などを納めておき、非常時の際には逃げ込めるようにしてあった。そのため、屋敷自体もそうだが、より高く土持ちをし、しかも2階屋造りとしてある。ちなみに、利根川下流域では、他に関宿町や野田市、栄町などにも同様な水塚(みずか)の例がある。これ以外には、屋敷地内に、建物をともなわない塚のみを築く場合、あるいは、経済的に裕福でなければオカ畑・ダイ畑などといって、わざわざシマ対岸の潮来や佐原の小丘に出作りの畑地をもち、いざというときの避難地とした場合などがある。