水郷の原風景 もくじへ


写真24 クロ畑 昭和32年(1957) 撮影場所:千葉県佐原市中洲
低湿地帯であるシマでは水田がほとんどだった。平均すれば、1軒につき1町歩余の水田と1〜2反程度の畑をもっていたという。特に畑地としては、場所が取れないことから、クロ畑といって田のクロや、屋敷畑といって稲を収穫する前までの間、屋敷地を利用するなどした。そして、オカ畑あるいはダイ畑といって対岸の高台に出作りの畑地を設けることもした。植え物は麦・薩摩芋が主流であったが、これは日常の食物としてはもちろん、水害時の救荒作物にもなった。また、クロ畑では地下部での水分浸透が激しく、根菜類はあまり適さないという難点があり、屋敷畑では夏野菜がおのずと主となっていた。ここのクロ畑にはジャガイモ、向こうにはキャベツが植えられている。