水郷の原風景 もくじへ


写真43 十二橋巡り 昭和37年(1962) 撮影場所:千葉県佐原市加藤洲
加藤洲・十二橋は水郷の観光資源として欠くことのできないものだった。このことは多くの古い書物にも散見できる。もともとは佐原・津宮から潮来へ舟で抜ける際に遊覧するといった形が通常であったが、大正14年(1952)に水郷遊覧船鰍ェ設立され、モーター船による貸切遊覧が観光の目玉とされるようになると、俄然、注目の的となっていった。そして、昭和6年(1931)には水郷汽船鰍ェ誕生し、あやめ丸・さつき丸と称する大型遊覧船も就航するようになる。他方、潮来の商店や旅館などでは観光客相手に小舟を出し、十二橋巡りを細々とながらも続けていた。やがて、昭和30年(1955)には当地を舞台とした美空ひばり主演映画「娘船頭」(松竹)が上映されると、その影響で爆発的に利用客は急増していった。その結果、漕ぎ手はもっはら女の役目となり、十二橋巡りは娘船頭の名のもとに定着し、昭和40年(1965)にはシマの人々によって奥水郷観光協同組合が設立され、地元民による観光事業が押し進められるようになった。