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写真48 土運び 昭和30年(1955)頃 撮影場所:千葉県佐原市(北佐原)
シマでは土もまた貴重であった。田や畑あるいは屋敷地などの土台や補填に使うため、暇をみては川底の土をさらい、とっておいた。ことに田うないの際には泥掻きといって、エンマなどの川泥をさらい、田に撒き散らしたものだった。泥掻きは、客土のみならず、田に地力をつけるのに覿面だった。ちょうどこの頃の泥には川藻などの腐敗物が混入しており、肥料効果が高かったからである。また、各集落では3月末から4月上旬頃には、エンマ払いといって共同労働による、いわば浚渫(しゅんせつ)作業も行われた。