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写真50 苗取りb 昭和30年(1955) 撮影場所:千葉県佐原市中洲
苗取りの一景。着ている野良儀の上衣はタジュバン(田襦袢)といい、マチ入りの半袖となっており、稲作偏重の湿田地帯ならではの形態をみせている。対して対岸台地の畑作地帯では、袖は長く、もっぱら筒袖である。また、袖口にある折り返しは、いわば女のお洒落となる部分で、未婚の若い娘は赤や白い布を付けるなどした。田前掛けの帯の色もまた同様である。なお、履いているタモンピキ(田股引)の膝頭にみえるのは、虫やゴミが入らないよう藁で縛ったもので、これは足首にも付けた。