千葉県立中央博物館大利根分館 収蔵資料

 水車  (みずぐるま)


 水郷地方は低湿地帯で古くから稲作が行われていました。水田のまわりには縦横に水路(エンマ)が入り組み、田に出るにも舟(サッパ舟)で移動していました。このような場所では、田と水路の水面との高低差が少なくて水位も低いので、田に水を汲み上げるのに水車(踏車とも呼ばれる)が使われました。
 水車が発明される以前には手桶や、振りおけなどを使って人力で水を汲み上げていました。江戸時代の寛文年間(1661〜1673)に大阪で水車が発明されて、全国に広まっていったとされています。水車の発明は当時としては画期的なことだったでしょう。また、水車の他に木製のポンプ(水郷地方では水を吸い込む時の音から「ズーポー」という)なども使われていました。
 昭和時代初期の石油発動機の普及とともに、水汲みは人力から動力へと代わり、農作業は飛躍的な発展をとげました。