24ー1 キッコーマン株式会社本社


所在地 野田市
竣工年 S2
所有者 キッコーマン(株)
設計者 佐藤良吉
施工者 不明
構造 木2
外壁 モルタル塗り
屋根形状・葺材 陸屋根
建築規模 690.9m2

醤油の町として有名な野田では,やはりその産業に関わる施設を見落とすことができない。特にキッコーマン株式会社の建物の中には,近代建造物として価値の高いものが少なくない。ここでは,そのうちの幾棟かを取り上げる。

キッコーマン本社社屋は現役の建物として使用されており,保存状態も良好である。また,木造モルタル塗り仕上げのこの建物は,意匠的にたいへん優れ,関連施設の中でも特に貴重な建築である。全体を眺めると,角が丸められた隅部と,窓や玄関出入口を構成する半円アーチが目に付き,単純であっさりとした印象を受ける。しかし,細部に目を移すと,いたるところにアールデコのデザインモチーフがちりばめられていることが分かる。格調のある木製の扉に付けられた幾何学的デザインの金物,直線を基調とした階段親柱の意匠,スパンドレルの単純な構成等に見られるアールデコのデザインは,建築以外にも門の照明等に採用され,統一感を与えている。アメリカのオフィスビルに多用されたアールデコの装飾は,日本においても同様の用途の建物に取り入れられた。この建築はその好例である。[江口]

本社社屋


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