71 旧竹の屋旅館


所在地 鴨川市
竣工年 T13
所有者 ユニバースホテル
設計者 不明
施工者 不明
構造 木3
外壁 下見板張り
屋根形状・葺材 入母屋造,瓦葺
建築規模 530.4m2

明治から大正にかけての鴨川では,漁を生業とする者が最も多く,商業を営む者がこれに次いだという。そのような中,昭和4年に房総一周鉄道が開通し,両国・鴨川間が5時間で結ばれるようになったため,東京からの海水浴客が増加した。海水浴場には無料休憩所が設けられ,ブランコ等の遊具も作られ,客に親しまれた。そして宿泊のための旅館の数も,収容人員が県内一を誇るようになった。

竹の屋は,そのような旅館のひとつで,大正12年の関東大震災の翌年に建てられた。道路に面した正面の上部に,入母屋破風と照り破風を左右に並べ,建物を2つの部分に分けている。それぞれの部分に出入り口が設けられ,ここでは左に唐破風,右に入母屋破風という構成になっている。唐破風に付けられた竹の葉を形取った懸魚は見事であり,注目される。側面には上部に起こり破風と照り破風を並べ,変化が付けられていることが分かる。2・3階には持ち送りで張り出した縁部に手摺が廻され,立体感を与えている。

この建物は現在使用されていないが,木造3階建ての大規模な,しかもデザイン性豊かな和風建築として,重要なものと思われる。[江口]


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