企 画 展

平成10年8月4日から9月27日まで開催されました。
利根川水運と諸大名

1 川が歴史を運ぶ  2 利根川水運を利用した諸大名  
3 川がはぐくんだ産業
  4 利根川水運と諸大名  

展示資料一覧  展示協力者

川が歴史を運ぶ
 利根川中流域の関宿・古河一帯は関東平野のほぼ中心に位置します。江戸時代には河川交通の要衝として栄えていましたが、それ以前の古い時代から川船の行き来がありました。時代をさかのぼると、この一帯は歴史の節目節目で重要な舞台になっていました。特に戦国時代は古河公方家臣簗田氏と後北条氏の攻防など関東の争乱の中心となりましたが、これは輸送手段としてあるいは防衛手段として川の存在が重要であったからです。
利根川水運を利用した諸大名
 近世初頭より、諸大名は藩の財源を確保するために年貢米を換金する必要がありました。このため年貢米を江戸へ輸送しなければならず、これは諸藩にとってきわめて大きな問題でした。輸送手段の少ない当時にあって、運賃が安く大量の荷物を輸送するためには、舟運を利用することが最善の方法でしたが、当時の河川交通路の未整備や船そのものの不足などにより江戸への輸送は容易ではありませんでした。寛永期になると利根川東遷事業により確実な輸送路が確保され、河川交通は飛躍的に発達しました。そして輸送方法は諸藩の地理的位置や政策によってそれぞれ異なってはいましたが、関東諸藩のみならず東北諸藩まで利根川の本流・支流を利用して江戸への廻送を行うようになりました。

廻米輸送の旗
(浦和市立郷土博物館)
川がはぐくんだ産業
 商品作物が進展してくると、必然的に輸送荷物は年貢米から商い荷物へと内容を変えていきました。一方で近世中期以降、参勤交代をはじめとする支出経費に借金が蓄積されたことなどから諸藩財政は悪化の道をたどりました。加えて関東諸藩においては、天明3年(1783)の浅間山噴火を契機とする飢饉(天明の飢饉)や洪水の発生が大きく影響しました。諸藩は財政の立て直しをはかるために、藩内の特産物生産を奨励し、それを藩が独占的に販売して利益を上げようとする専売制をとるなどの策を講じました。これらの特産物は水運により販路を広げ大きく発展し、伝統産業として現在に引き継がれているものも多くあります。

茶がめ(当館)
利根川水運と諸大名
 近世、幕府・諸大名は年貢米を江戸へ廻送するために利根川水運を利用しました。河川改修工事により確実な輸送ルートの確保と商品流通の発展により、河川交通はますます発達しました。
  利根川水運は、大名や家臣が江戸と藩を行き来するとき、役人の輸送・江戸へ向かう大名の諸荷物など年貢米や商人荷物の他にも種々の輸送に利用され、物資流通の大動脈としてその役割を担うこととなりました。

房川渡しの図
(古河歴史博物館)

展示資料一覧

○川が歴史を運ぶ
簗田家文書(当館保管) 関八州全図(当館)
○利根川水運を利用した諸大名
幕府廻米輸送旗(浦和市立郷土博物館) 赤松宗旦覚書(個人) 倉賀野河岸定法御定書写(個人) 忍城鳥瞰図(埼玉県立博物館) 土浦城下絵図(土浦市立博物館) 前橋町絵図(群馬県立文書館) 古河領図・井上家資料(古河歴史博物館) 岩井河岸問屋印章・烏川浮世絵・河岸問屋模型(群馬県立歴史博物館) 関宿御抱関改方手控(東北大学附属図書館) 御関所取扱(関宿町教育委員会) 五料関所構内絵図(明治大学刑事博物館) 金町松戸関所硯・印・御用箱(葛飾区郷土と天文の博物館) 関宿土産(千葉県立中央図書館) 江戸名所図会(当館)
○川がはぐくんだ伝統産業
提糸・座繰・錦絵(東京農工大学工学部附属繊維博物館) 高崎談図(高崎市教育委員会) 前橋祇園祭礼絵巻(前橋市立図書館) 茶がめ・フルイ(当館) 中山元成手帳・米艦渡来の図・巡回指導の図(個人) 紅花・繰綿・紫(千葉県立房総のむら)
○利根川水運と諸大名
船箪笥(個人) 関所記録(関宿町教育委員会) 中古倭風俗日光御社参栗橋渡船荷之図・松戸宿船橋図(当館) 房川渡し模型(古河歴史博物館)

展示協力者

(敬称略)

浦和市立郷土博物館 葛飾区郷土と天文の博物館 行田市立郷土博物館 金竜院 群馬県立文書館 群馬県立歴史博物館 古河歴史博物館 境町歴史民俗資料館 関宿町教育委員会 高崎市教育委員会 高崎市史編さん室 玉村町教育委員会 千葉県立中央図書館 千葉県立房総のむら 土浦市立博物館 東京農工大学工学部附属繊維博物館 東北大学附属図書館 前橋市立図書館 明治大学刑事博物館

青木登 井上滋 伊能直樹 江波戸栄一 川島清実 清水純 須賀健一 関野与一 中山信一郎 林保 船戸菅男 松岡祥子 松本さく子 簗田寿昭 山田保義


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