《耕地整理図》 明治34年(1901)〜明治35年(1902)
キャンバス・油彩 縦91.0 × 横151.5p 【千葉県立美術館蔵】
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 明治35年、堀江が千葉に赴任して数年の頃、千葉県知事、阿部浩は当時全国で第2番目に完成した香取郡多古町島地籍の耕地整理の状況を全国に紹介したいと思い、堀江に委嘱しました。
 堀江は多古に直接赴き、完成したのが60号キャンバス2枚にわたる油彩画≪耕地整理図≫です。工部美術学校で学んだのであろう用器画(製図用の器具を使って描く幾何学的図形)の手法が生かされた遠近法で描かれています。
堀江は、描く以上は充分正確に写生しなくてはならぬと語っていたといい、遠景の家、1軒1軒まで特定できそうなほど緻密に描かれており、第5回全国勧業博覧会に出品され好評を博しました。この作品は県庁の耕地課から、中央図書館を経て、千葉県立美術館に収蔵されています。
当時は、上総一宮を描いた作品もあったといわれていますが現存しないようです。
 また、小学農業教科書下巻(大正7年発行、昭和10年改訂版発行)の第47課には「耕地整理」の項目があり、堀江の≪耕地整理図≫を版画にした挿絵を掲載し、耕地整理することのメリット等を挙げています。この本は、高等小学校児童用農業教科書として使われていました。

耕地整理図

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