柏市元割遺跡


7(Ⅶ)層(第2黒色帯上部)や4(Ⅳ)・5(Ⅴ)層(ハードローム層上部)で石器が見つかっていますが、特に後者では745点もの石器類が出土し、ナイフ形石器や削器などこの時期に一般的な器種で構成されています。
 一方、本遺跡で最も注目される資料が、石槍を主体とした石器群です。出土した層位が2(Ⅱ)層下部であることから、報告書や『千葉県の歴史』などでは縄文時代草創期の資料として扱われていますが、この時期の土器が1点もなかったことや、他遺跡の例などから、旧石器時代最終末の資料として紹介します。

出土した石器

 2か所の石器集中地点から、石槍31点(25個体)、削器6点のほか、剥片類23点が出土しています。石槍の石材は、黒色の珪化岩・チャート・ガラス質黒色安山岩の3種類が使われています。

 集中して出土した石槍は、昭和31年に調査された新潟県本ノ木遺跡の成果から「本ノ木型」と呼ばれています。刺突具として使用されたため、多くが破損品として残されています。「本ノ木型」石槍は、関東地方を中心に東日本に分布していますが、千葉県は、関東地方の出土例の過半数を占める県として知られています。ただ、単独で発見される例がほとんどで、元割遺跡のような複数の資料が出土する例は少なく、貴重な出土例となっています。