都市の発達


 古代から都が建設されたように、我が国での都市の建設の歴史は、古いものです。奈良や京都の他にも、鎌倉・山田・坂本・堺・博多・山口など、いろいろな都市が生まれ、商業も活発に営まれていました。
 しかし、都市に多くの人が定住し、商工業が発達し、都市が現在のように政治・経済・文化の中心地として位置づけられるようになったのは、安土桃山時代から江戸時代初期にかけてのことでした。
 この時代には、全国的に城下町が建設されました。また、農村においても市場が開かれ、商工業の発達した在郷町と呼ばれる集落も発達しました。交通の発達によって宿場町や港町・門前町も賑わいをみせるようになりました。こうして生まれた都市は、明治時代以降もその地方の重要な都市として発展していく例が少なくありません。
 幕府領や旗本領の多かった房総半島では、藩領が少なく、その城下町も少なかったのです。佐倉市・野田市関宿町・富津市佐貫町・大多喜町・館山市・君津市久留里町などを残すくらいです。現在の千葉県に残る都市の多くは、幕府領や旗本領の中で在郷町として賑わった町なのです。明治時代以降、周辺の町村を合併して都市として発展しました。千葉市・船橋市・松戸市・市川市など多くの都市がその例として上げられます。このほかに、新勝寺の門前町として栄えた成田市、利根川の河岸場として繁栄した香取市・栄町、天然の良港に恵まれた銚子市なども、江戸時代から栄え、賑わったのです。