商家で働く人


 商家は、店と奥に分かれ、店では番頭、手代、丁稚などの男の使用人が働き、奥の生活の場では女の奉公人が台所などの仕事をしました。

丁稚(でっち)

 丁稚は、小僧とも呼ばれ、小学校または高等科卒業後、住み込みの奉公に出ました。はじめの仕事は店の掃除や使い走り、荷作り、運搬、雑用、主人のお供などで、年2回、盆と正月に小遣いと仕着(旦那から与えられる着物一式を仕着といった)が与えられだけで、無給で働きました。 徴兵検査で年季が明けると、1年程度のお礼奉公をしました。
 また、同業者や、他の店の子弟が見習いに入ることもありました。修行のため「他人の飯を食う」ことが大切にされたからです。この場合は、中学校を卒業してからのこともあり、期間も2~3年と短いものでした。

手代と番頭

 年季明け後、丁稚は手代に昇格します。手代は店番、得意先回りなどの責任のある仕事をまかされて、一人前の店員としての扱いを受けました。給金も出るようになります。
 手代として商売をよくさばき、勤務年数も長くなると番頭となりました。主人の指図に従って店の経営の全てを統率します。そして、番頭として店の経営に尽くした者は、のれん分けを許され、別に店を構えて商売を始めることとなりますが、実際にのれん分けを許されて独立する者は、極めて少なかったようです。