瀬戸物の店「すゑや」
江戸時代中頃まで、房総地方では瀬戸物のみの販売をする店はほとんどなく、お茶屋や荒物屋などで販売していました。江戸時代末期頃から、徐々に瀬戸物屋が登場します。瀬戸物屋は、瀬戸物の他に、漆器などの食器類全般を扱い、昭和初期の頃には、ガラス品なども扱いました。年間を通じて、非常に地味な商売をしており、かきいれどきというものはありませんでした
屋号 君津地方の古代の郡名、周准(須恵)郡に由来します。須恵器の「すえ」とかけて屋号としました。
建物の特徴 寄棟瓦葺屋根、間口4間、奥行き3間半の平屋建て町家造り。店奥の両脇の扉は、半間、内部に入り込んだ造りになっています。具体的なモデルとなった建物はありません
店先の展示 看板 「萬焼物品々すゑや(よろずやきものしなじなすえや)」と書かれています。
棚と瀬戸物類 昔ながらの形、図柄で、現在作られている瀬戸物類および戦前に作られた、瀬戸物類を棚に展示してあります。販売の際には、産地で送られてきた梱包のまま、棚に並べていました。
俵 産地から俵で送られてきました。本来は、店の奥や蔵に保管してありました。
蹴ろくろ 瀬戸物は、販売店で作ることはありません。蹴ろくろは、実演・体験用として設置してあります。足で蹴って回すろくろです。
作業机 演目用として配置しています。絵付けや、七宝焼、土人形などに使用します。
テッポウ 冬場に、焼物作成中、手を温めるために使います。筒におきた炭を入れ、水を暖かくします。テッポウ風呂に似た形のため、このように呼ばれます。
乾燥棚 作った焼物を乾燥させるための棚です。棚板と組になります。
瀬戸物の店一口メモ
瀬戸物屋の商い 陶磁器、漆器を扱いました。漆器は、普段使いのものを多少店に並べる程度で、上物は店の奥にしまっておき、注文に応じて出してくるやり方がほとんどでした。店先には土管や甕を並べ、瀬戸物の店だということが一目でわかるようにしていました。また、仕入れ品や展示中に出るハネものは、かごなどに入れ、店先に置き、安価で販売していました。
瀬戸物屋の生活 年間を通じて非常に地味な商売をしており、とくにかきいれどきというものはありませんでした。ただし、農家などの人寄せがあるときなどは、大量の食器類が出ることもありました。また、荷車を曳いて近隣の町や村まで行商することもありました。