針供養(ハリクヨウ)
2月8日と12月8日は「事八日(ことようか)」と呼ばれ、特別な日として強く意識された日でした。この日は疫病神などの各種の神や妖怪がやってくる日と考えられており、山へはいるなとか、仕事を早く切り上げて家にいよとする伝承が各地に伝えられており、針仕事を休むのも仕事を休むことと関連があると考えられています。
このような厄日と針供養という行事の関係についての定説はありませんが、淡島信仰と関係があるのではないかという説があります。女性の守り神とされる淡島信仰の根拠地は和歌山市の加太神社で、この祭神は婆利才女(はりさいにょ)とする説があります。この名前と針を関連させる説を、近世中期以降、淡島願人という宗教者が説いて回ったのでないかと考えられます。これを各地の裁縫の師匠などが取り入れ、仕事を忌むべき日に針仕事を休んで淡島を信仰し、針の供養をするようになったのではないかと考えられています。
商家−佐原市寺宿の事例
諏訪神社の境内に浅草から勧請した淡島様が祀られており、2月8日にはお針子さん達が針を使い古しの針刺しや瓶などに入れて、淡島様に納めに行きました。この日は針を使わない日で、お針子さん達は茶話会などをして楽しみました。