お荒神様の宿替えオコウジンサマノヤドガエ)
「お荒神様の宿替え」は、旧暦の5月7日、11月7日などにそれぞれこの「宿」を新しく作り変える行事です。なぜ、この日に行われるのかは定かではありませんが、この時期は「宿」の屋根の材料となる新しい麦殻や稲わらが手に入る時期と重なります。また、毎月「宿替え」をすると、お金がたまるといわれています。
現在でも「お荒神様の宿替え」が行われていることは、屋敷神としての「お荒神様」に対する信仰の深さを感じさせるものとしてとらえることができましょう。
安房の農家−安房郡三芳村山名の事例
この地区のある家庭で、現在でも祀られている「お荒神様」は、近くの川原でとれた丸い石が御神体です。そして御神体のまわりには、草木を利用して作った「宿(仮の祠と考えられます)」が建てられています。場所は、屋敷の鬼門といわれる「艮(北東)」に位置します。宿替えは近年までは年2回というのが通例だったようです。この家庭では、「お荒神様は火事で(家が燃えて)も燃えない」とか「風が吹いても倒れない」といわれており、実際にどんな強風でも倒れたことがないそうです。現在では、「宿替え」の煩わしさなどもあって、この地区でも「お荒神様」を祠ごと石製にすることが多くなっているようです。