粉子器が作る粉子は,不動精子の役割を果たすとも言われています.
キャンピリディア,ハイフォフォアは粉子器に似た働きがあるとされます.
これらの器官が特徴的な形態をしていると,それだけで同定できることがあります..
粉子器に似ますが,多くは地衣体から裸出し,上部がやや広がり,くちばしのような形状をしています.ワタヘリゴケ科(Pilocarpaceae)(ハシゴケ科,Ectolechiaceaeを含む)と,ウメボシゴケ属(Trypetheliopsis)が知られます.
現在記録があるのは下の2種のみですが,更に発見される可能性があります.
地衣体表面に突き出た棘のような構造で,その先端か片面に,ダイアハイフェという粉子のような胞子を付けます.この形のものは一般的なため,ハイフォフォアからは同定することは困難です.しかし特異な例として,傘状になったりしていると,子器が無くても同定が可能です.
下に挙げた例以外にも,ハイフォフォアをつける地衣類を確認していますが,所属が不明のままです.
ハイフォロア(周りの棘状の構造):Gyalideopsis chibaensis/ (ギアリデオプシス チバエンシス)(●)
粉子器は,これらの中で,最も普通に地衣類に見られる機関です.比較的形に違いがなく,種類を分ける特徴にはなりにくいと考えてください.しかし「これは何だろう?」という疑問に,粉子器だと答えられるようにしておきたいですね.
粉子器のみから同定できる痂状地衣は,この図鑑にはまだ掲載されていません.
下の2種の生葉上地衣は,粉子器を見つけやすい種です.
粉子器(中央部に多数ある,白っぽく飛び出した部分):Coenogonium subluteum/ ウスチャサラゴケ(●)