岩上生ならびに樹皮着生マルゴケ属の，顕著な果托を生じる種の中では，子嚢胞子は平行8室で比較的大きく（長さ60 μm以上），顕著な外膜があり，地衣体が概ね平滑で，裂芽状突起や小いぼ状突起で覆われないことによって特徴づけられる．

【外部形態】地衣体は痂状，連続し，ほぼ平滑からわずかに皺を生じるか，わずかにいぼ状となり，わずかに光沢があるか，光沢がなく，緑がかった灰色か，多少とも褐色がかり，裂芽状突起を欠く．

被子器は顕著な果托があり，ドーム状に突出するかほぼ半球形となり，直径0.5 – 0.8 mm，基部は顕著にくびれることはなく，果托表面は平滑からわずかにいぼ状突起を生じ，頂部は丸く，ときに孔口を中心として直径0.5 – 0.8 mmが暗褐色からほぼ黒色化する．

【内部形態】地衣体は厚さ約5 μmの皮層を生じるかこれを欠く．果托は顕著で，シュウ酸カルシウム結晶の連続する厚い層を生じる．外殻は上部では果殻と連続し，この状態は時に中部近くまで達し，下方では果殻から離れてわずかに広がり基部にまで到達する．果殻は側方では橙色を帯びるかほぼ無色で厚さ10 – 15 μm，上方では橙褐色で外殻と癒合する．子嚢層は概ね球形から僅かに上下に扁平で，高さ250 – 270 μm，幅 310 – 330 μm．側糸はほぼ単一．子嚢胞子は61 – 70 × 6 – 12 μm，無色，平行8室（隔壁は7），薄壁，顕著な外膜（2 – 6 μm）がある． 

【化学成分】記録なし

【分布と生態】九州（宮崎県）のスダジイ林において，岩上と樹幹上から見つかった．