令和6年度中央博セミナー

令和6年度中央博セミナーのご案内

千葉県立中央博物館では、職員の調査研究の成果を展示や教育普及事業を通じて、県民の皆さまにお届けするとともに、この中央博セミナーで調査研究の成果発表や調査レポートなどをお届けしています。どなたでもご参加いただけます。

第5回中央博セミナー

日 時:令和6年11月27日(水)午後3時~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要

発表

発表者:榎 美香

タイトル:描かれた里山生態園 ~明治中期の房総の四季耕作図~

要旨:今回紹介したいのは、千葉県横芝光町母子村の地主が明治20年、絵師岡勝谷に描かせた「四季農村図風俗図屏風」。いわゆる「四季耕作図」と呼ばれるジャンルの作品である。普通お手本(粉本)を写して描き入れることが多いが、この作品は絵師がこの地に逗留し、さまざまな農作物の栽培風景を独特のタッチで描いており、また周囲の動植物等を描くなど、写実性が高い作品と考えられる。まさにこの当時の房総の「人と自然のかかわり」一年分を切り取ってビジュアルで残した絵画版「生態園」といえる。
 いつかこの作品を自然誌系研究員の皆さんに見ていただき、動植物など読み解いていただく機会がないかと思っていた。今回、念願が叶うこととなったので、ぜひご一緒に楽しんで見ていきたい。

 

第4回中央博セミナー

日 時:令和6年7月2日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要

発表1

発表者:小林 大純

タイトル:旅する魚たち、両側回遊性魚類の生物学的研究

要旨:両側回遊性生物は、孵化後しばらくの期間はプランクトンのような状態で海を浮遊して過ごした後、陸水に遡上してそこで成長から産卵まで行う複雑な生活史をもつ。このため、同生物は仔魚期の海を介した分散によって広域な分布範囲を持つ種が多いが、そのような種の進化のしくみや地域ごとの多様性についての情報は非回遊性の生物に比べ乏しい現状にある。演者はこれまでハゼ目魚類の両側回遊性種の種分化機構や系統地理、分類の研究を展開してきた。本セミナーでは特にインド太平洋地域に生息するカワアナゴ科魚類の研究を中心にこれまでの演者の研究について紹介し、今後の展望についても議論する。

発表2

発表者:園部 華与

タイトル:法にみる都市鎌倉の様相

要旨:武士の法典「御成敗式目」は、源頼朝以来の先例や武家社会の慣習・道徳をもとに定められた。その後も時代の状況に応じて修正、追加が行われ、そのなかには鎌倉の都市整備や治安に関するものも見られる。例えば、道の整備や通行に関わる法令などから当時の鎌倉の様子をうかがうこともできる。
演者は、鎌倉時代の鎌倉を対象とした都市法について、時期を追って分類・整理し、時期ごとの傾向や特徴を比較検討するとともに、さらに同時代の他地方の都市法と比較することによって、鎌倉の独自性を明らかにすべく考察を加えてきた。
本セミナーでは、法史料を通して当時の鎌倉における都市の様相について紹介する。

 

第3回中央博セミナー

日 時:令和6年6月18日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 会議室(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順50名、入場料不要

発表1

発表者:栃原 行人

タイトル:ミクロなきのこの多様性に迫る

要旨:菌類は地球上に100万種以上が存在するとされる多様性の宝庫であるが、その大半は未だに認知されておらず、生態や分布、進化についての基礎的な知見も不足している。演者はビョウタケ目とよばれる、数ミリ以下の微小なきのこをつくる菌群を対象として、DNA情報や形態情報に基づく分類学的研究を通して種多様性の解明を試みてきた。本セミナーでは、これまでに報告した新種を例として菌類の膨大な多様性の一端を紹介するとともに、現在取り組んでいる菌類の分布や種分化に関する研究、および今後の研究の見通しについてもお話ししたい。 

発表2

発表者:山中 蛍

タイトル:地形から探るプレート衝突帯の活断層と地殻変動

要旨:南部フォッサマグナは、互いに異なるプレートに位置する伊豆弧と本州弧が衝突する地帯である。演者は、最新の地形データを活用して同地域の活断層を調査し、断層運動の傾向に基づいて長期的な地殻変動を研究してきた。その結果、最近100万年以内のごく短い期間に、プレート境界位置の移動に応じて活断層の動き方にも変化が生じたことが示されつつある。伊豆弧と本州弧の衝突は、南部フォッサマグナだけでなく、房総半島から東海沿岸域までの広範囲の地形の成り立ちに影響しているとみられ、今後さらに研究を進めていく予定である。発表では、研究の現状と課題を紹介し、今後の展望にも触れたい。

 

第2回中央博セミナー

日 時:令和6年5月21日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要

発表1

発表者:小田谷 嘉弥

タイトル:ジシギ類の謎を解き明かす

要旨:ジシギ類は、長い嘴や迷彩模様の羽色などが特徴の、チドリ目シギ科に属する湿地性鳥類である。国内には6種が分布しており、いずれも中~長距離の渡りを行う。ジシギ類は日本産鳥類の中で野外での識別が最も困難なグループの一つで、基礎的な形態や生態の情報が不足している。演者はジシギ類の種ごとの渡来状況、形態の種内変異、換羽と渡りの戦略、分類の再検討などの様々な課題について、野外で捕獲した生体と博物館標本の両方を調査して研究を進めている。本講演では、取り組んできた研究の概要と今後の展望をお話ししたい。

発表2

発表者:小川 宏和

タイトル:異文化を「読む」―日本古代の鵜飼を例として―

要旨:古代の人々は、現代人が日頃意識することの少ない物事にも重要な意味や価値を見出していた。かつて生業の一つとして行われていた鵜飼漁もその一つである。古代、鵜飼たちの一部は朝廷に直属し、贄(天皇に捧げる生鮮食品)を献上する見返りに税が免除される特権集団であった。彼らが使用する鵜は諸国に貢進が義務付けられ、期日に遅れた場合の厳しい刑罰も存在した。また、貢進された鵜は、天皇が「見る」儀礼を経て鵜飼たちに下賜されたことも明らかにされている。本セミナーでは、こうした「異文化」ともいえる古代の鵜飼について具体的な史料を示しながら紹介する。

 

第1回中央博セミナー

日 時:令和6年4月16日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要

発表1

発表者:宮 正樹

タイトル:研究者としてのキャリア形成と研究費の獲得:生成AIの活用による新時代の到来

要旨:博物館研究者としてのキャリア形成について、在籍38年間の経験に基づき持論を展開する。また、科研費の目的、概要、審査方法、読み手にわかりやすい調書の書き方、小区分の選び方などを解説する。最後に、効率よく研究を進めるための生成AIの活用法について解説する。

発表2

発表者:島立 理子

タイトル:調書作成のコツ

要旨: