第1章 鯨の歩んだ5000万年

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 千葉県立中央博物館特別展「鯨」へようこそ!

 この展示では、陸から海へ還っていったクジラの進化の歴史や多様性、知られざる生態を紹介するとともに、人の生活とクジラのかかわりについても幅広く紹介します。誰もが知っている動物でありながら、普段の生活の中で実際に目にしたり触れ合ったりする機会が少ないクジラの魅力をご堪能ください。

 第一章ではクジラがどんな生き物なのか、彼らの進化の歴史をたどりながらご紹介します。

 クジラは魚に似た姿をしていますが、カバなどを含む偶蹄類(ぐうているい)から分かれた哺乳類(ほにゅうるい)です。クジラが哺乳類である証拠の一つが、赤ちゃんがお乳を飲んで育つことです。クジラの赤ちゃんは母親の乳首に舌を巻き付けてミルクを飲むので、舌が特殊な形をしています。他にも首の骨の形などに哺乳類の特徴を見つけることができます。

 クジラの進化の歴史はおよそ5000万年前まで遡(さかのぼ)ることができます。当時のクジラは陸を歩いており、イヌのような姿をした動物でした。その後、水中生活に適応するにつれて鼻の穴が頭の上に移動し、前足は胸びれになり、後ろ足は退化してなくなる様子が、化石の記録から分かっています。体毛もなくなり、皮膚(ひふ)が変形して背びれと尾びれになりました。

 現在見られるクジラは、ヒゲクジラ類とハクジラ類です。ヒゲクジラは海水から小さな餌を濾(こ)しとって大量に食べます。餌を濾しとるために上顎(うわあご)には板のようなヒゲが200〜300枚も生えています。ヒゲの発達と共に歯は退化してなくなり、2500万年前のクジラの化石を調べるとその様子がわかります。

 ハクジラ類はコウモリなどと同じように超音波(ちょうおんぱ)を出すことができます。この能力により、自分がいる場所を知ったり、餌や敵の位置を知ることができます。ですから、濁(にご)った水の中や深海でも「音で周りを見る」ことができるのですね。ハクジラ類はヒゲクジラ類とは異なり、餌を 1匹1匹吸い込んで丸飲みで食べますが、上下のあごに歯が残っています。

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