長福寺(勝浦市杉戸)の地衣類

光榮山 長福寺(上総七面山 長福寺)

 長福寺と名のつく寺は数多くありそうですが,その中で「上総七面山」を冠することでこの寺はよく知られています.千葉市から見ると,上総牛久から国道297号線をたどり,大多喜を過ぎ,太平洋岸の勝浦市街に向かう途中の勝浦市杉戸にあります.夷隅水系の上流にあたる内陸の丘陵地の田園地帯です.

 緩やかな斜面に開かれた水田に面した丘陵の縁に,この寺は位置しています.駐車場から最初の石段(右写真)を登ると信徒会館,左手に進んで30段ほどの石段を上ると祖師堂と墓地,さらに左奥に進み320段の石段を登ると七面山です.

(長福寺については,「日蓮宗 上総七面山 長福寺ホームページ」等をご覧ください)
入口
長福寺正面.調査にあたった原田と坂田.2021年4月
 

長福寺の地衣類

 入口の石段上すぐ左のスギの幹では早くもサルオガセ属を多数見ることができます(右写真).隣のイチョウには様々な葉状地衣が.信徒会館の南側(左側)の斜面にはコフキツメゴケが見られます.

 なお,Leptogium bosoense H.Harada ヒメアオキノリは,この入口の斜面の地上で採集した標本をタイプとして,原田によって新種記載されました(文献1).

 境内の樹幹や,墓石などに生育する様々な地衣類を,このコンテンツでは写真によって紹介します.地衣類に関する情報と,掲載する写真は,2021年(令和3年)4月に現地調査したときのものです.

 調査をご許可くださった御住職他関係者の皆様に感謝申し上げます.

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入口付近のスギ.サルオガセ属が多数着生する
【文献1】Harada H. 2011. Leptogium bosoense (lichenized Ascomycota, Collemataceae), a new terricolous cyanolichen from Chiba-ken, central Japan. Lichenology 10(1): 29-32.
 
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