調査研究事業:「房総(千葉県)の地衣類誌」
 
1.チェックリストの作成.
2.地衣類相調査
3.未知種の探索,同定,分類学的研究
 
未知種の探索,同定,分類学的研究

地衣類相調査とは別に,未知種の探索のための調査を行いました.それは,図鑑には載っているが千葉県からは記録がなかった種を探す場合もあるし,日本では分類の研究が十分に進んでいないグループの分類を明らかにするために探す場合もあります.あるいは,見たこともないような地衣類(ということは日本からは記録がなかったり,新種であったりという可能性が高い)を探す場合もあります.

このため調査は,そのような地衣類の発見の可能性が高いと考えられる場所で主に実施しました.それはどこかというと,千葉県では,南部の丘陵地帯ということになります.特にその核心部ともいうべき清澄山という地名は植物・菌類の研究者の間では有名な場所で,関東の低地では最も多様性の豊かな場所と考えられています.

 
新種の発表

千葉県南部での調査を本格化させる前に,最初の新種を発表しました.産地は博物館の周り.当時,原田が研究室としていた植物標本製作室のすぐ外の植込みの周りの小石についていた地衣類でした.Thelidium japonicum H.Haradaと命名し,当館の研究報告(Natural History Research)で新種発表しました(文献1).和名は後に,マルミゴケとしました(文献2).

【文献1】Harada H. 1991. Thelidium japonicum Harada, a new lichen species from Japan. Nat. Hist. Res. 1 (2): 9 - 11.

【文献2】Harada H., Okamoto T. & Yoshimura I. 2004. A checklist of lichens and lichen-allies of Japan. Lichenology 2: 47 - 165.
その後も,多数の新種を発見し,発表しました.その一覧表を別のページにまとめてあります.
→(●)千葉県産の地衣類の新種リスト
 
その他の発見

国外で既に見つかっている種が,新たに発見されることがあります.これを「日本新産(種)」と呼びます.調査研究事業「房総の地衣類誌」によって千葉県でも日本新産種が見つかることがあります.また,日本での記録はあっても,その正体がよく分からないといった種について,分類学的な研究をしたり,詳細な記載や写真を示したりすることも大切です.そのような研究で千葉県産の標本を使用することもありました.

そのような種の一覧を別のページにまとめてあります.
→(●)千葉県でのその他の発見
 
 
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