子嚢菌類と担子菌類

菌類を代表する大きなグループとして,子嚢菌類,担子菌類,接合菌類があります.その他に種数は少ないですが,ケカビの仲間と,ツボカビの仲間があり,これで全てです.

 

その他にも,かつては菌類の仲間として位置付けられ,今は別の仲間に位置付けられているものがあります.変形菌類,卵菌類,サカゲツボカビ,ラビリンチュラです.変形菌類は,アメーバと一緒にされアメーボゾアというグループに,卵菌類・サカゲツボカビ・ラビリンチュラは,藻類の褐藻・珪藻と一緒にストラメノパイルというグループに移動したのです.

 

※生物界における,菌類の系統的な位置づけについては,

こちらをご覧ください →「地衣類の生活・・・その1」

残った仲間のうち,高等とされる菌類が,子嚢菌類と担子菌類です.シイタケやナメコなどスーパーで売っているきのこのほとんど全ては担子菌類で,一般にきのこと認識されているのが担子菌類です.

 

子嚢菌類はと言うと,きのこの中では例外的なアミガサタケの仲間がありますが,あまり目にする子嚢菌類というのはありません.となると,認識されているかどうかは別にして,目にしやすい子嚢菌類と言えば,ずばり地衣類と言っても過言ではないでしょう.

 

子嚢胞子と担子胞子

さて,この子嚢菌類と担子菌類ですが,決定的な違いは,胞子のでき方です.子嚢菌類が作るのは子嚢胞子,担子菌類では担子胞子です.

 

子嚢菌類の子嚢胞子: 菌糸が変形した子嚢(しのう)の中に,子嚢胞子はできます.「嚢」という字には「ふくろ」という意味があるように,子嚢という細胞の中に胞子ができます.

 

担子菌類の担子胞子: 菌糸が変形した担子器という細胞の外側にでっぱった突起の先に,担子胞子ができます.「担」には「になう」「かつぐ」という意味があるように,担子器が担ぐように外側に胞子ができます.シイタケなどでは,ひだの表面付近にできます.

 

子嚢と子嚢胞子,担子器と端子胞子は,プレパラートを作って顕微鏡で拡大しないと観察することはできません.

ascus&basidium