1.葉状(ようじょう)地衣の体の造り

1-2. 地衣体の背面などに見られる構造

3) パスチュール
(a) ウメノキゴケ科に見られるパスチュール
pustule
 
lobes
コナヒメウメノキゴケの地衣体背面には,泡のように膨れた構造が見えます.これがパスチュールです.この写真ではたくさんのパスチュールが壊れています.
 
パスチュールは地衣体の背面側(皮層と藻類層付近)がはがれて膨れたのもです.中空になっているので壊れやすく,コナヒメウメノキゴケでは断片化したパスチュールが栄養繁殖に役立っているようです.

このようなパスチュールが見られる種として,ウメノキゴケ科では右のような種が代表例です.

 

 

ハヤチネウメノキゴケ Myelochroa hayachinensis

ヒカゲウチキウメノキゴケ Myelochroa leucotyliza

コナヒメウメノキゴケ Parmelinopsis spumosa

 

ウメノキゴケ科以外では,右の種でも見ることができます.   アナゴケ Thelotrema inalbescens(痂状地衣です)
(b) その他のパスチュール
pust2s
 
pust2s
ウラジロオオイワブスマ(イワタケ科)のパスチュールも,コナヒメウメノキゴケ(上)のものと同じように丸く飛び出します.
 
しかし,地衣体の腹面側は丸く窪んでいます.つまり,地衣体全体が,背面側に丸く飛び出しているのです.これもパスチュールと呼ばれます.