2023/11/23(木)
ススキ類麦角病
ススキ草地に生えているススキの穂に黒っぽい角状のものがたくさんついています。長さ5ミリ前後のバナナ型のものが多く、表面に白い粉を吹いているものもあります。これはススキ類の穂に発生する子嚢菌類のキノコの一種 Claviceps panicoidearum で、白い粉状のものは分生子(無性生殖でできる胞子のようなもの)です。このようにイネ科の穂に発生するキノコを「麦角(ばっかく)」といいます。麦角には毒成分を有するものがあり、これを食べると循環器や神経の障害や流産などを引き起こすことがあります。中世ヨーロッパでは麦角が発生したライ麦を使ったパンを食べることにより麦角中毒が蔓延した記録があります。日本では麦角中毒はほとんど記録がありません。



(尾崎煙雄)
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