授業の概要


『総合的な学習の時間』へ向けた試行授業〜カラスのねぐら調べ〜

<はじめに>

 平成14年度から本格的に導入される『総合的な学習の時間(以下、総合学習)』に向けて、様々な試みが全国の小中学校で展開されている。

 君津市立清和中学校(全校生徒108名、千葉県唯一の僻地校指定中学校)でも総合学習の試行授業が行われている。清和中学校全体のテーマが『好きです清和』、第1学年(1クラス34人)のテーマが『清和の自然を知ろう』である。

 清和中学校が位置する清和県民の森には、千葉県立中央博物館分館山の博物館(仮称)の設置が計画されている。山の博物館(仮称)設置準備担当の2名の研究員(尾崎、大木)は予定地周辺の自然誌研究と同時に、地域の小中学校との協力関係づくりを進めてきた。

 この度、清和中第1学年の総合学習アドバイザーとして、4日間の試行授業に協力した。今回取りあげたテーマは『カラス』である。誰でも知っている『カラス』は、自分たちが生まれ育った地域の自然を見つめるきっかけとして最高の題材である。以下にその時の概要を記す。

<授業名>

「清和に住むカラスの生態」調査

<期日>

平成13年11月13日(火)〜17日(土)(全15時間)

<目的>

清和中学校

・清和地区の自然を知り、大切にしようとする態度を育てる。

・清和に住む鳥、特にカラスの生態について知る。

・現代社会の課題・環境(カラス公害)を知り、郷土愛を育む。

博物館

・自分たちが生まれ育った地域の自然に目を向けさせる。

・自然を観察し記録する方法を身につけさせる。

・山の博物館(仮称)の『応援団』を育成する。

<日程・主な授業内容>

11/13(火)6校時 事前指導(担任):カラスについてのアンケート調査

11/14(水)3、4校時 講義(大木・尾崎)

            1.カラスってどんな鳥?(カラスへの誘い)

            2.カラスの生態(カラスのねぐら入り)

            3.カラスと人間(カラス公害)

            4.身近なカラスを調べてみよう(カラスの見分け方、地図の見方)

       5、6校時〜 野外観察

            ・それぞれの地区での野外観察

            ・ねぐらに帰るカラスの観察

11/15(木)1〜4校時 野外観察

            ・早朝のカラスの観察(希望書のみ)

            ・それぞれの地区での野外観察

       5、6校時 調査のまとめ

11/16(金)3、4校時 調査報告、レポート作り

11/17(土)1、2校時 レポート作り

・事前指導としてカラスに対する意識調査を生徒および各家族全員に実施し、生徒だけでなく、地域としてカラスを意識させるように努める。

・カラスへの誘いおよび調査方法の授業は学芸員が担当し、調査・まとめは生徒と教師が主体的に行う。

・博物館が事前にカラスのねぐらを1箇所だけ調べ、その時の様子をビデオで撮影し、授業で見せることでねぐら入りの様子を生徒にイメージさせる。

・調査へ出かける前に地図上でそのねぐらの方向を認識させることで、何時頃カラスがねぐらへ向かったかを意識させる。ただし、ねぐらは1箇所だけではないのでいろいろな方向へ帰る可能性がある。

・調査は学区が近い生徒同志で班を組み(9班)、カラスの種類やその行動、移動方向等を記録する。

・調査結果は各班毎にカラスの行動やアンケートをまとめたものを模造紙1枚にまとめる。また、カラスの移動方向を清和中学校区全体がわかる地形図上に全てプロットし、ねぐらの位置を確認する。

<使用した教材>

・カラスアンケート(博物館が原案作成。生徒とその家族を対象に実施)

・講義で使用した教材(博物館が準備)

  カラスグッズ(サッカー日本代表のマーク(ヤタガラスという伝説上の3本足のカラス))

  カラスの仮はく製(ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類)

  カラスの鳴き声のカセットテープ(ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類)

  カラスのビデオ(ねぐら入りする様子を事前に撮影)

・調査に使用した教材

  1万分の1地形図(学校が市役所から入手)

  双眼鏡(家庭にあれば使用する。無くても鳴き声からカラスの種類を区別できる。)

  方位磁針(博物館が準備)

  調査用紙(博物館が作成)


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