三島小にて。交尾中のヒメツチハンミョウのペア(写真1)。右が雄で、左が雌。どちらも体長2センチ弱。雄は触角の途中にふくらんだ部分があるので見分けは容易だ。
このペアはすでに交尾の目的は果たした(雄の精子を雌が受け取った)らしく、雌は雄から離れたがっているようだ(写真2)。止まったフキの葉に脚をかけてぐいぐいと引っ張っている。
一方、雄の方は離れたくない様子で、葉の縁に脚をかけてこらえている(写真3)。雌の腹部に挿入された交尾器は簡単には抜けない仕組みになっているようで、両者が力一杯引っ張り合っているのになかなか離れない。
一所懸命に逃げようとする雌と必死にふんばる雄の「綱引き」は3時間以上続いた。その様子はなにやら滑稽(こっけい)にも見え、同時に「すごみ」も感じられた。昆虫の中には、交尾後に雄が雌から離れず、他の雄と交尾するのを邪魔する習性を持つものが少なくない。これを「交尾後ガード」というが、ヒメツチハンミョウの雄も交尾後ガードをするのかもしれない。
ヒメツチハンミョウを含むツチハンミョウの仲間は身体から毒液を出すことがある。この毒が皮膚につくとかぶれることがあるので、念のため、素手で触らないように注意が必要だ。
(尾崎煙雄) |