No.072 2002/07/08(月)

 イワタバコの花


 いま、イワタバコの花が盛りである。沢沿いの湿った岩肌に貼りつくようにして生えた葉は大きいものでは長さ20cmを超える。その名の通りタバコの葉に似ている。

 しかし、タバコはナス科。イワタバコはまったく別のイワタバコ科に属する草本。ここでみられるものは厳密には「ケイワタバコ」という品種。同じ科には園芸植物のセントポーリアがある。

 花は直径2cmほど。花冠は5ないし6枚に裂ける。中央にある雌しべを雄しべが取り囲むように密着している。

 遠くからみてもよくわからないが、花の中心部分にはオレンジ色の模様があって、訪れる虫に蜜のありかを教えている。舐めてみたら、かすかに甘みを感じた。

 見上げると、ほとんど一面のイワタバコ。こんな垂直に近い崖で生きられる植物はそう多くはない。適度な陽当たりと適度な湿り気の崖地ではイワタバコだらけになることもある。

(K)


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