No.086 2002/08/22(木)

 ヘクソカズラの花


 夏の後半に咲く花にはつる植物が多い。ヘクソカズラもそのひとつ。

 長さ2cmほどの白い筒状の花で、先は5つに裂けた花びらとなり、中心部は赤紫色。

 こんな可憐な花をつかまえて「屁糞葛」とはずいぶんな命名である。たしかに茎や葉には独特の悪臭があるのだが。

 図鑑によってはヤイトバナという別名の方を採用している。「ヤイト」とは「お灸」のこと。赤紫色の部分がお灸の痕に似ているから、ともいわれる。

 よくみると、花びらの縁は優雅に波打ち、赤紫色の中心部には産毛のような白い毛が密生する。

 じつは花の内側全体が赤紫色で、白い毛には粘りけがある。蜜を求めて花にもぐりこんだ虫が簡単には出られないようになっているのだ。

 どこにでもある花なので、みつけたら指先で“解剖”してみるとおもしろい。

(K)

 ヘクソカズラ Paederia scandens (アカネ科)


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