No.178 2004/07/07(水)
松枯れ
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マツの枝が突然枯れた。2週間前には青々としていた松葉が焼けたように茶色くなってしまった。いわゆる松枯れ病だと思われる。ただのマツではない。この木は五葉松の一種、ヒメコマツ。ふつうにあるアカマツと違って、千葉県では絶滅しかけている貴重な種類だ。 | ![]() |
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枯れた枝の表面を観察すると、長さ5ミリくらいの傷が無数にある。マツノマダラカミキリの産卵痕のようにみえる。この昆虫は、いわゆる「松枯れ病」の病原体マツノザイセンチュウ(松の材線虫)を媒介する。体長1ミリに満たないこの線虫は北アメリカ原産の外来動物。在来種のマツノマダラカミキリにしてみれば、松枯れの犯人あつかいされるのは心外のはず。 | ![]() |
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じつはこの木、あるお宅の庭木なのだが、ヒメコマツの衰退の原因を探るためのある実験に使わせてもらっている。突然枯れたマツもかわいそうだが、2年越しの実験の一部がパァになってしまったのは私たちにとっても痛手。
(尾崎煙雄) |
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ヒメコマツ Pinus parviflora (マツ科) アカマツ Pinus densiflora (マツ科) マツノマダラカミキリ Monochamus alternatus (カミキリムシ科) マツノザイセンチュウ Bursaphelenchus xylophilus (線形動物門 線虫綱 Aphelenchoidae科) |
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