No.390 2006/07/07(金)

 フイリイチョウ(斑入り銀杏)


dummy    「白い葉っぱのイチョウがあるよ」と5年生のキエちゃんが教えてくれた。体育館の裏にあるイチョウの木の下だという。行ってみると、イチョウの根元には高さ10〜20センチの実生(みしょう)が数百本あった。みな昨秋に落ちたギンナンから芽生えたのだ。その中に、葉に白い部分のあるものが6本みつかった。
   葉緑素を失い白くなった部分を「斑(ふ)」という。普通の緑色の葉に白い筋が入ったものもあるし、葉全体が白いのもある。全体が白い葉は葉緑素をまったく持っていないので、光合成ができず、やがて枯れてしまう。ここまでは種子(ギンナン)の栄養だけで育ったのだろう。同じ木の下に何本かの斑入りがあるということから考えて、イチョウの斑入りは劣性遺伝する形質であり、この親木(母親)はその遺伝子を持っているのだろう。
   斑入りのものは「フイリイチョウ」の名でイチョウの変種と書かれていることもあるが、単なる個体変異の一型に過ぎないので、「品種」とするのが妥当だ。

(尾崎煙雄)

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 イチョウ Ginkgo biloba(イチョウ科)

 フイリイチョウ Ginkgo biloba var. variegata(イチョウ科)

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