No.645 2009/02/04(水)

 マメヅタラン


dummy  房総丘陵のヒメコマツ(別名ゴヨウマツ)の生育状況を集中的に調査している。人が滅多に足を踏み入れないような丘陵の奥地を探索していると、珍しいものに出会うことも多い。崖っぷちに生えたヒメコマツの幹をコケのように覆う緑の植物(写真1)。これはマメヅタランだ。希少なランの1種で、マメヅタというシダ植物に似ているためこの名がある(写真2)。
 ヒメコマツの幹にマメヅタランが着生している光景はたぶん滅多にみられないはずだ。マメヅタランは南方の植物で、房総はその分布北限に近い。一方、温帯の樹木であるヒメコマツにとって房総は温暖側の分布限界地。両者は分布の端と端でかろうじて出会ったわけだ。つまりこれは南と北の生物が共存する房総の自然を象徴する光景なのだ。
 (尾崎煙雄)
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写真1
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写真2
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 ヒメコマツ(ゴヨウマツ) Pinus parviflora(マツ科)

 マメヅタラン Bulbophyllum drymoglossum(ラン科)

 マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum(ウラボシ科)

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