No.813 2010/03/12(金)

 ネコヤナギの花に来る虫


dummy  三島小の校庭のネコヤナギが咲いた。雌雄別株の雄株だ。絹毛に覆われた花序からおしべが伸びて先端の葯から黄色い花粉がみえている。それぞれのおしべの付け根には小さな蜜腺がある。体長1センチほどのハナアブの1種が訪れて(写真1)、長い口吻を差し込んでおしべの付け根の蜜をなめているようす。セイヨウミツバチも口吻を伸ばして蜜をなめている(写真2)。さらに、ミツバチは身体についた花粉を器用に集めて団子を作り、後脚につけて運んでいる。やや小さめのヒラタアブの仲間も来ていた(写真3)。このアブの口は短く、蜜腺に届きそうにない。どうやら花粉を食べているようにみえる。
 これらの昆虫を全部捕らえて顕微鏡で観察した。ハナアブとミツバチの身体には毛がたくさん生えていて、花粉だらけだった。だが、小型のヒラタアブの身体にはほとんど毛がなく、花粉はほとんどついていなかった。ネコヤナギの雌花にも蜜腺はある。蜜を利用するハナアブやミツバチは花粉まみれの身体で受粉を助ける。もしこのヒラタアブは蜜を利用できないとしたら、雌花には用がない。ネコヤナギからすれば受粉の役には立たない。これだけの観察ではまだわからない事ばかりだけれど、植物と昆虫の関係は複雑でおもしろい。
 (尾崎煙雄)
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写真1
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写真2
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写真3
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 ネコヤナギ Salix gracilistyla(ヤナギ科)

 ハナアブの1種 Eristalis sp.(ハナアブ科)

 セイヨウミツバチ Apis mellifera(ミツバチ科)

 ヒラタアブの1種 Syrphidae sp.(ハナアブ科)

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